尊敬する榊原清則先生の新著「イノベーションの収益化」
http://www.yuhikaku.co.jp/bookhtml/012/012614.html
平易な文章ながらいつも通りの濃い分析とユニークな視点にあふれている。

先生の本の中身についてはまたの機会にして、ちょっと気になる引用が。25ページ目、マッキンゼー調査 「Foster and Kaplan,2001,pp.216-218 研究開発と企業成長」

これによると、なんと!コンピュータハードウエア、ソフトウエア(私に給料くれている業界だ)および半導体では驚くべきことに研究開発投資(要するにバランスシートで「研究開発費」が売り上げの何%になっているか)と利益率は完全に逆相関。つまり、自社で研究開発せっせとしている会社はもうかっておらず、DELLのような組立・流通プロセスに特化して基礎技術の研究なんぞやっていない会社の方がもうかっているそうな。感覚的にはわかっているが調査結果の形で明示的に「逆相関」なんて書かれるとテクノロジーの夢はどこいったと思ってしまう。(補足:全体の主旨としてはそんな単純に断じていない。あくまで分析のひとつです)IT業界の研究開発の仕組みは産学連携や買収戦略に関係するので実は単純な売上比率では測れないとはわかってはいるのだが。
この話を今日の昼飯いっしょにした同僚にすると、わが同僚「マッキンゼー、誤解のもとになるような余計な調査すんなよなあ...」。思わずそうだよななんて思ってしまった。