セイゴー先生(松岡正剛)「多読術(ちくまプリマー新書)」、セイゴーの作られ方とページ毎でおしげもなく披露される博覧強記のエビデンス。ちゃんとデジタルとの付き合い方もセイゴーのスコープ内で消化しているところがすごい。
本というか「読書」に対する集中力と吸収力、持続パワーの秘密がちょっとだけ見えた気はするが同時にまねできないという感覚もあらためてもった。カラマーゾフの兄弟の登場人物の性格描写と審問官(そもそも何の仕事だ)の位置づけなんぞとうてい語れない。

この中でいい本は2度読めとおっしゃってくれるがいい本ほど2度目を読むエネルギーは出てこない傾向がある。村上春樹三島由紀夫のような長い物語で現実とアタマの中の世界が行ったり来たりするワールドは読むほうも相当エネルギー使ってのめりこむ。楽しさと苦しさのまじったような世界にもう一度入るのかよといった躊躇がある。天気のいい日のロングディスタンスのランニングは魅力的だがちょっと走りだす前にちょっとおっくうな感覚とも似ているかな。