初めての本格的自伝という「音楽は自由にする」とユリイカ総特集坂本龍一(4月臨時増刊)。
ユリイカの方は文化的な香り濃い「論文」や対談が載っていてそれはそれで面白く読めたり、ちがうだろー、考えすぎではないかなんて読み方もできる。
自伝は平易な文章というより、西麻布あたりで教授が同年代の友人に語るような自然体の文章でものすごく読みやすい。読みやすいといっても中身はすごい。
私より半世代かひと世代上で、ちょうどいろんな音楽聴きだして以来リアルタイムで聴いてはいたがこの本で初めて知った「実像」や創作の現場の実態はばかり。
よくもまー、こんなに中学や高校生のころのこと覚えているよなというエピソード満載だが、どれもやはり人(に限らないが)の能力や才能はダイバーシティ(多様性)とネットワーキング力で延ばされるという最近の理屈にも見事にかなっていることを実践している。
受けた教育や指導うぃ自分のものとして身に付けた坂本龍一もエライがよい指導者や師にも恵まれたというのは大きいだろう。ある意味「東京山の手アッパー教育論」とも読める。
音楽は自由にするではなく真の才能は人を自由にするってことだと思う。