経済ニュースとしてはけっこう大きくとりあげられたセブン&アイデニーズ大量閉店。20%、130店にもおよぶそうだ。
これどう見るか。普通のマーケティングセオリーでの市場構造の変化から見ると、このようにある業態が縮小するのは上位シフト(高価格帯化)するかより低価格の業態(この場合ファーストフードやモールのフードコート)にシフトするかのどちらかだが、専門家や世間の見解はまぎれもなく後者。いろいろ思うところあるがこれも日本の「劣化」の一つではないかと危惧する。そもそも世間はファミレスにすら行かなくなるくらい余裕がもうなくなってしまっているということだろうか。ファミレスが幸せな家族の象徴だなんてまぬけなことを言うつもりはないし、一時はむしろファミレスの浸透で家庭の味がすたれるとか主婦の手抜きの時代になったなんて論調の方が説得力あったと考えているくらいだ。しかしどうもこの今の脱ファミレスが家庭の味回帰や本物志向の定着(もちろん上位シフトに成功した「勝ち組」はいるのだが)という方向ではなく単純に可処分所得の減少や家族の在り方自体の変化という、どうも社会の活力の下向き加減の結果ではないかと思ってしまう。そういう意味では昔デパート食堂がその役割を終えたのと異なるものを感じる。
私がまだ学生の頃は思えばまさにファミレスの勃興期だった。ちょうどその頃、当時すでにだいぶ年配になっていた女性の先輩が当時言っていたことばを思い出した。「ファミレスってえらいわねよねー、ちゃぶ台でお箸でごはんという生活の普通の日本人にレストランに行って家族でフォークとナイフで食事するという習慣を定着させたんだから」。普通の日本人に家族で外食というハレの場を提供したファミレスは約30数年を経てその役割を終えたということか。
さて、一方の業界の雄であるすかいらーくはどうだろうか。90年代のGrillやGardensという「高級化」路線もとん挫しすっかりGASTのイメージだがいち早く低価格シフトに成功したということだろうか。